技術資料

地質モデリング

01.はじめに

担当:冨永 英治
2021.09

新型コロナウィルス感染症対策として、地層科学研究所の社員の多くは、2020年春より、在宅勤務と出社勤務を併用しています。 筆者は、家にいる時間が増えた影響で、毎日のように丹沢の山々と対面しています。パソコンに向かいながらも、大山・塔ノ岳などの丹沢山系や晴天のときに見える大きな富士山の雄大な姿をぼーっと見て現実逃避をしている自分に気づくことがあります。
毎日のように丹沢の山々を眺めているなかで「ただ眺めているだけでなく、生活エリアの地質に関する情報を集め、「地下を見える化」=「地質構造モデルを作成」してみよう」と思いつきました。

著者の頭の中、思考を皆さんと共有しながら、地質構造モデルの完成を目指し、本サイトにて少しずつその過程を紹介していきます。 地質構造モデルの作成には、当社開発ソフトウェアのGeo-Graphiaを使用します。自分の足元を見つめなおしていく中で再認識することや、面白そうな話題なども紹介できればと考えています。 どうぞお付き合いください。

※左:丹沢の奥に富士山が見える風景  右:田んぼ越しの丹沢夕景

<丹沢とは>
神奈川県北西部に広がる、県土面積の約6分の1を占める4,000ヘクタールあまりの一大山塊です。雨降山として有名な大山(おおやま)と神奈川県最高峰の蛭ケ岳(標高1,673m)、丹沢山などがあります。
参考:丹沢について(神奈川県庁サイト)

「地質構造モデルを作成する」と聞くと、地質分野の専門家でないと作れないものだと思われるかもしれませんが、筆者は、地質の基礎知識を有している方なら、必要な材料(情報やデータ)を揃えてソフトウェアを活用すれば作成することが可能だと考えています。

3次元地質構造モデルを作成する良さのひとつに、「様々な角度から見ることができ、情報共有がしやすく、状況や現象の理解を助ける。」という点があります。 まずは作成してみて、3次元で作成したものをいろいろな角度から見て、地下や地質について関心を向けたり、自分の頭の中でイメージしたものを作ったりする喜びに触れていただけたらと思います。

地質構造モデルを作る際、最初に行うことは、モデル化する範囲の決定です。
その後、範囲内のいろいろな情報を集め、それらをソフトウェアへ取込み、三次元的に可視化してみます。点や線、画像、データを加えていくことで、それらがつながり、関連付けられ、徐々に頭の中で3次元の完成予想イメージが見えてきます。このイメージするという作業は、とても重要と考えています。

地質構造モデル作成手順例
地質図幅や断面図をインポートして配置した例
地表面データ各種表示例

地質モデルは、不確定要素が多い情報を扱うため、推定したモデルが絶対正確なものとは言いきれませんが、「このような考え・データに基づくとこのようなモデルになります」と、モデルの作り手の意思・思考を明確に説明ができるべきだと思います。 モデルは、あくまでもモデルですから、いろいろな観点を持ったものでいいと思います。それが、地質の面白さの一つではないかなと筆者は考えています。

次回からは、範囲を決めて情報を集めていきます。

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