技術資料
地質モデリング
公開データから弘前地域の3次元地質モデルを作成する
前回からだいぶ、時間が空きましたが、「地質モデルを作ってみよう!」の新作をご紹介します。
今回は、5万分の1地質図幅「弘前」エリアの地質モデルを作成しました。弘前エリアにはどのような地質が分布しているのか、地質図や断面図をもとにモデル化した結果をご紹介します。
使用した資料やデータは、次の2つです。
- 地質平面図、断面図:5万分の1地質図幅「弘前」(20km四方の領域)
- 地質構造の解釈・参考:共立出版株式会社の「日本の地質2「東北地方」」
このエリアの特徴は、北西部に岩木山、南縁に津軽山塊、東側に津軽盆地となります。おもな河川は、岩木川です。秋田県境、白神山地の雁森岳を源流とし、弘前市を通り、やがて北上し、十三湖に注ぎ込みます。


どんな地質が分布しているのでしょうか
(1)先第三系
東北日本弧のグリーンタフからなる新第三系の基盤として分布している地層です。
弘前市南部、青森・秋田県境のエリアでは、先第三系が分布しています。このエリアで最も古い地層です。主に、堆積岩類で構成され、溶岩・凝灰岩などの火山岩類も認められます。

(2)第三系
南部エリアの津軽山塊を主に分布しています。本エリアでは、東北日本弧の広く分布するグリーンタフの火山岩とその上位の泥質岩から構成される。走向方向はほぼ東西方向を示し、北傾斜を示します。


(3)第四系
津軽平野周辺には、段丘堆積物、扇状地堆積物など広く分布し、岩木山周辺では各種噴出物が厚く分布しています。沖積層は、主に西部の岩木山周辺から岩木川による堆積物で構成されています。


(4)岩木山
このエリアは、何といっても北東方向に鎮座する岩木山が特徴的です。活動時期は、中期更新世の末期とされており、第一期活動、第二期活動を経て有史時代の活動(最近では1863年)が起きています。主に安山岩で構成されています。
有史の記録では、1597年あたりから1863年の間に少なくとも6回の噴火活動が敦賀藩の古文書などに記録されています。近年では、1975年、2013年に大雨により山腹斜面から土石流が発生し、そのうち1975年の場合は甚大で、人家全壊、農地浸水、死者22名、重軽症31名という大災害になりました。
岩木山の火山活動に対する防災として、岩木山火山防災協議会が岩木山火山避難計画(平成31年3月)、岩木山火山防災マップ(2019年改訂版)を刊行しています。
それによると、水蒸気噴火とマグマ噴火のケースに分けて被害想定範囲を想定しています。主な噴火現象と火砕流・火砕サージ、融雪型火山泥流、⼤きな噴⽯及び降灰などで、特に火砕流については、短時間で住居の影響や生命に対する危険性が高いと想定しています。



あとがき:地質モデルから広がる可能性
私たちは地質モデルの可能性を広げていきたいと考えています。
地質モデルには、地質情報だけでなく、さまざまな地図情報や分布情報を重ね合わせることができます。土木や地質分野に限らず、異なる分野の情報と組み合わせることで、より多くの活用が期待できます。「こんな情報と組み合わせたら面白そう」「こんな場面で活用できそう」といったアイデアがありましたら、ぜひお寄せください。
また、地質モデルに関するご相談などありましたら、お知らせください。


作成した地質モデルは、そのまま解析用のメッシュデータへ変換することができます。
これにより、地下構造を考慮した各種シミュレーションへ活用することが可能です。
例えば、次のような解析に利用できます。
- 地下水流動解析
- 浸透流解析
- 地盤変形解析


