技術資料

地質モデリング

13.沖積層をモデル化する

担当:冨永 英治
2022.09

地質モデリングの最終回です。
今回は、沖積層をモデル化します。沖積層は、主に河川の影響で堆積した地層です。

まず、沖積層の分布域について確認していきます。現世の河川の位置を中心に広がっていることがわかります。
図1の水色の部分が沖積層の分布しているエリアです。やはり、河川位置付近に分布しています。ただし、南エリアについては、河川部ではない広域的に分布していることがわかります。

図1 沖積層分布エリア

次に、Geo-Graphiaの機能で、高さの倍率を拡大して分かりやすくした後、沖積層の分布エリアの縁(へり)部を点線でラフに描いてみました(図2中点線)。その結果、その縁(へり)部は、地形の凸であることが明瞭に分かります。つまり、地形の変化と地質分布は密接に影響していることがわかります。

図2 沖積分布エリアの縁部地形(高さ倍率11.39倍)

今度は、沖積層の厚さに注目してみます。 地質断面図に描かれている沖積層の最下面について確認していきます。 図3は、地質断面図から沖積層の最下面を点群(下図水色点)で表示させ、その点群からサーフェス(最下面)を作成したものを図4に示しました。その結果、相模川の河口部では、急激に深い地形があることわかり、標高-80mに達しています。それだけ、相模川の流れが河床を侵食して形成したことを物語っています。

図3 沖積層最下部分布(点群)(高さ7.59倍)
図4 沖積層最下面分布(面)(高さ7.59倍)

今回は、その点群をそのまま境界面設定として、地質推定を実施しました。
その結果を図4および図5に示します。これにて、ようやく地質モデルが完成しました。 お疲れ様でした。

図5 上:完成モデル(沖積層を除く)(高さ7.59倍) 下:完成モデル(高さ7.59倍)

このコラムでは、私たちの生活エリア=本社のある神奈川県を対象として地質モデル作成を取り上げてみました。地質モデルを作成することは、そのエリアの地史もさることながら、地形の凹凸との関係など思った以上に広く学ぶこと、発見することが多かったように思います。
また、別エリアを対象にコラムで取り上げていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
(モデルエリアのリクエストも受け付けます!!)

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