技術資料

やわらかサイエンス

地球のコアの温度を知る方法

担当:重廣道子
2002.05

(以下はGregory Lysengaによる解答の抜粋です)

地質の本を開くと、地球内部の構造を説明した図が載っています。さて、どうやって地球のコアを調査し温度を測定したのか、という質問を誰かから受けたことはないでしょうか?

私たちは地球のコアの実際の温度を知ることは出来ません。少なくとも、正確には知ることは出来ません。地球の中心は地表から6,400 kmに位置します。しかし、温度を直接測るために掘削された今までの最深度は、地表からおよそ10km(*:1997年10月6日現在)でしかありません。

残念ながら、地球のコアを直接探査する技術はまだ開発されておらず、また、それが可能であるかどうかも未知です。したがって、科学者は、地球の深部の温度を間接的に推論しなければなりません。地震波が地球を通過する速度を観察・分析することにより、直接調査することが出来ない深部の岩石の密度と硬度を測定することが出来ます。そして、もし、その地震波の測定から得られた特性が、既存の物質が高温高圧下で示す特性と一致した場合、地球深部の環境を大体推測することが可能です。

地球の中心の環境は非常な極限にあり、地球のコアを模擬した室内試験を行うことは大変困難です。しかし、地球物理学者は、大気圧の300万倍の圧力下にある地球の中心部を推測するために、常に様々な実験を行い、改良を重ねています。実験の結果から、3727℃から6727℃のレンジの推定温度が最も広く受け入れられています。

地球のコアは主に溶解した鉄から構成されているので、高圧下での鉄の融点を正確に知ることができれば、地球のコアの温度をより正確に突き止めることが出来るでしょう。しかし、高温高圧下での試験がより精密になるまでは、地球のコアに関する問題は未知のままです。


参照
http://www.sciam.com/askexpert/geology/geology7/geology7.html
※上記Webサイトの最終参照日:2002年5月

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