技術資料

地質モデリング

10.こぼれ話4~箱根火山と神奈川エリア~

担当:冨永 英治
2022.06

前回(第9回 相模層群をモデル化する)作成した地質モデルでは、“ローム層”という地層が登場していきます。よく耳にする関東ローム層とは、関東エリアに噴火起源で噴出した火山灰が大気中を降下して形成した地層の総称です。
そのローム層は、主に、箱根火山の噴火、最も新しい最上部では、富士火山の噴火に伴って形成してきました。つまり、今回のモデル化した地層は、箱根火山の活動した時期に重なります。

箱根火山が噴火活動を始めたのが、約50万年前とされており、つまり、今回の作成した地層は、箱根火山の活動期にあたることになります。太古の箱根火山は、現在の富士山のようなひとつの成層火山の火山活動ではなく、金時山や明神ヶ岳のような小さな成層火山が連なった火山群が誕生したとされています。

その後、何度も噴火を繰り返し、神奈川エリア、本モデルエリアにもその火山灰が降下し、藤沢ローム層や早田ローム層などのローム層が形成されたわけです。それぞれのローム層にはそれぞれの特徴があります。例えば、藤沢ローム層の場合、ほとんどスコリア層で、一部に軽石層。早田ローム層の場合、半分は軽石層で、半分がスコリア層など。
その特徴は、地層の分布を考えるとき同層準かどうかの判断材料となります。

箱根エリアについて地形コンターを作成してみました。点群データは、国土地理院基盤地図情報サービスから10mDEMを取得しました。

標高カラー段彩図と地図貼り付け図
標高カラー段彩図と地図貼り付け図
標高カラー段彩図
標高カラー段彩図
<箱根火山周辺の情報>
大涌谷にある箱根ジオミュージアムでは、大涌谷の地形模型などが展示されているそうです。
箱根ジオパークのサイトでは、箱根火山の中心部の神山や駒ケ岳、芦ノ湖などの情報が閲覧できます。
※参照先最終確認日:2022年6月

おまけ写真
※下記写真は、当社社員が撮影したものです(2020年8月撮影)

写真:金時山山頂からは、中央火口丘の神山が見ることができる
金時山山頂から中央火口丘の神山が見ることができる
写真:西側は、富士山や愛鷹山系が見ることができる
西側は富士山や愛鷹山系が見ることができる
金時山の金太郎ゆかりのまさかりオブジェ
金太郎伝説の巨石(宿り石)

左:頂上には、金太郎ゆかりのまさかりがあります。
右:金太郎伝説の巨石(宿り石)。

金時山が形成された際に、火山活動により噴出された火山砕屑物である凝灰角礫岩だと思われます。どうして、このように割れたかは・・・難しいですね。やっぱり、金太郎ですかね?

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