先端技術の開発と活用

逆解析による透水係数の推定

地下水流れの逆解析では、観測された地下水位変化よりや透水性などを推定します。ここでは、安定した収束性が期待できるカルマンフィルタを3次元有限要素法と組み合わせた手法を紹介します。有限要素解析には、飽和・不飽和浸透流解析を用います。

逆解析例:透水係数の推定

斜面における降雨時の水位変化を例にとって、観測値から透水係数を逆解析により求めてみます。観測値を設定するため、浸透流解析で順解析を行いました(図1、図2)。観測点は、ボーリングで行われた水位計測を模擬し、図中の○印3か所の節点としました。定常解析(図1)を行った後に、モデル上面に降雨浸透を設定し非定常解析を行い(図2)、観測点での圧力水頭を求め観測値としました。これを用い逆解析を行いますが、初期透水係数として順解析に用いた値の1/10の値を用いました。
逆解析の結果を図3に示します。順解析で得られた圧力水頭の分布が再現されています(図中の青線は地下水位)。降雨時の最下観測点における全水頭の変化を表1に示します、透水係数の推定値が正しいため、逆解析の結果は順解析にほぼ等しくなっています。このように、逆解析を用いることで透水係数と地下水位の分布を推定することができます。

図1 初期定常解析(圧力水頭)
図1 初期定常解析(圧力水頭)
図2 順解析結果(降雨時圧力水頭)
図2 順解析結果(降雨時圧力水頭)
図3逆解析結果(降雨時圧力水頭)
図3逆解析結果(降雨時圧力水頭)

表1 最下観測点の全水頭変化(降雨時)

表1 最下観測点の全水頭変化(降雨時)
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